Y氏~追想の刻

追想の刻~パチンコ屋店員物語~episode3

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ホールのアルバイトと社員の違い。

これこそ法人さんや各ホールさんによってかなり仕事内容は変わります。

 

前回までのあらすじ

episode1 episode2

 

もうY氏がアルバイトとして、この冥王ホール3号店で働き出して2年近く経とうとしていました。

 

Y氏は早番なのに昨晩も店長と飲みに行ってしまい、二日酔いで休憩中しているとアイパーを整えながら店長が休憩室に入ってくる。

 

お疲れ様です・・・。店長はホントに酒強いっすね・・・。
Y氏

 

店長
アホかお前は。あんなん飲んだ内に入んねぇよ。

 

今日はかなりご機嫌の様で、休憩室に入って来るなり目押し練習用に設置してあるニューエスを回し始める。

 

Y氏は強烈な二日酔いでもはや、全く喋る気力も無かった。

エスカルゴのテンパイ音が聞こえてくる。

 

店長
このエスカルゴは愛嬌あるなぁ!お前はもう少し愛嬌がありゃいいのになぁ?

 

数ゲーム回すと、こっちに向かって歩きながら店長は言った。

 

店長
んでよぉ・・・お前は社員になる気あるんだよな?

 

リーダーへの誘い

Y氏の肩を握るその手はごつく、思わずおにぎりを落としそうになる位の握力だった。

 

まあ、無くはないすけど。
Y氏

 

店長
つーかよぉ、いまこの店はリーダーが不在なのは知ってるよなぁ。

 

リーダー・・・
Y氏

 

この店の役職には店長、副店長、主任、副主任、リーダーという役職が存在してるのですがリーダーは社員が務めていました。

 

しかしながら前リーダーは現主任との反りが合わず退職してしまい、リーダーのポストと謎の体調不良で退職した副店長のポストが空いたままだったのです。

 

でも俺はあの主任の下ではやりたくないですよ。あの人の下で働いても喧嘩しちゃうの目に見えてますから。
Y氏

 

店長
あぁ大丈夫だよ。あの主任は訳あって別の店舗に異動になるから、そこから新しい主任がここに来んだよ。

 

店長
そんでよ、新しい主任の手助けと言っちゃあなんだけど、もう2年近く働いてるお前にリーダーをやって欲しいんだよ。

 

手助けって、副主任も店長も居るじゃないすか?
Y氏

 

店長
副主任?あいつはダメ!勢いが全くねぇ。それに俺は忙しいんだよ。

本社にも顔出さなきゃなんねえだろ?だからお前が副主任と、主任のお手伝いをするんだよ。 つーかこれはチャンスなんだぞ?

 

でもリーダーって何やるんですか?
Y氏

 

店長
簡単に言うとシフト管理、景品管理、備品管理、まぁホールの管理業務だよ。

 

役職への期待

社員になると同時にリーダー職というのは過去に例が無いらしく、他に数名いた社員達はリーダー職を避けてて役職に就くチャンスだったのです。

 

店長
金稼ぎたいって言ってただろ?
店長
大体なぁお給料だけじゃねえんだぞ?金の稼ぎ方ってのは無限にあるんだぜぇ?その辺もきっちり教えてやっから有り難く思え。

 

そう悪代官の様に笑う店長は、ポケットからドシャコにした愛車の黒いマジェスタの鍵を出して指先でクルクル回している。

 

確かに金は稼ぎたい。

 

しかもリーダーになったら釘も、設定もやらせてくれるはずだし。

景品管理とか、シフト管理は嫌いじゃないし。

あーでもX氏は一応先輩だから気を遣うなぁ・・・。明日相談してみよう。

 

ちょっと考えますよ。
Y氏

 

店長
はぁ?もったいぶってんじゃねぇ!時間がねえんだからよ。

本部長の承認貰わなきゃいけねえんだ、本部長が来る明後日までに決めとけ。

翌日の決断

早番で休憩中のY氏は、休憩室でボーッとリーダーの件を考えながら赤マルを吸ってると、X氏が遅番で出勤して来た。

 

X氏
おっす。 実はよ、昨日店長から隣町の7号店でリーダー候補として社員でやらないか?って言われたんだよ。

 

え?7号店で?
Y氏

 

7号店は上野興業が展開するホールの一つで、数年前に隣のターミナル駅前に本社ごと移転させて建てた自社ビルの3層600台の旗艦店でした。

一方ここ冥王ホール3号店はPS併せて1フロア250台のホール。

ホールの規模は圧倒的な差がありました。

 

X氏
んで俺も今はやりたい事ないし、来月から隣駅の海皇ホールに社員として異動する事に決めたんだわ。

 

社員に?じゃあ主任と一緒に行くんか?
Y氏

 

X氏
あれ、知ってたのか。 俺と主任は一緒に聞かされたんだよ。主任は珍しくご機嫌だったけどな。

 

まぁ店長と離れられて嬉しいんだろな・・・。

 

X氏の話を聞くだけで休憩時間は無くなり、Y氏はホールに戻った。

ガラガラのホール

平日の昼過ぎ。ホールにはいつもの常連さんしかいなので暇なのです。

休憩からホールに戻ると、カウンターの隅でハンドマイクを自分の肩にポンポンと当てている店長が、こっちを見て手招きをしている。

 

しゃあねえ、行くか。

 

店長、一昨日のリーダーの話ですけど俺やりますよ。
Y氏

 

店長
当たり前だろ。

 

ちなみにX氏には俺のリーダーの件は話してあるんですか?
Y氏

 

店長
いやまだ誰にも話はして無い。つーかアイツには隣駅のホールに社員で行ってもらうつもりだ。

 

シンパラの島の代表ランプが3色に光る。

 

店長
ほれ、スピリッツさんまた当たったみたいだぞ、ドル箱別積みして来い。

 

はい。
Y氏

 

リーダーかぁ、まあ今の社員達とは何とかやっていけそうだし頑張ってみるか。気掛かりだったX氏も社員で異動するって言ってるし。

 

そんな事を考えながら空のドル箱をスピリッツさんに渡すと、珍しくスピリッツさんと目が合った。

そしていつも無言で箱を受け取るはずのスピリッツさんがこう言った。

 

「お前が次のリーダーなの?」

 

えっ?なんでその事知ってんだ?

この話知ってるの俺と店長以上だろ?店長はスピリッツさんと話してる所あんまり見ないし。

 

いやいや、まだ決まった訳じゃないですよ。
Y氏

 

Y氏がそう言うとスピリッツさんは、少し笑いながら赤マルに火をつけた。

Y氏はスピリッツさんの言葉に違和感を覚えながら、ドル箱を別積みしていた。

 

腑に落ちない表情で店長の所へ戻ると・・・

 

店長
スピリッツさんに何か言われてたな?

 

いや、別に。
Y氏

 

店長
・・・。

 

・・・。
Y氏

 

店長
まあいいや。お前明日遅番だよな?

本部長来るの15時だからその前に出社しとけよ。

 

はい。
Y氏

 

な~にが本部長だ、どうせまた偉そうな奴が来るんだろ。

 

本部長の登場

今日は本部長が3号店に来る日。

今まで2年近く居て、社長は何度も見かけたが本部長と言うのは全く見たことがない。

ただ、気が短くかなりヤバい人だと言う情報だけは耳に入っていた。

 

Y氏が14時半に出勤すると、店の斜め前に黒のセルシオが停まっていた。ビカビカのアルミを纏ったその車体のオーラはもうどうにもならない。

 

うわぁ・・・あれ絶対本部長だろ。やべえな先に来られちゃったじゃん。
Y氏

 

あの場所に車を停めて店から文句を言われないのは身内の人間だけだ。

すぐにそれが本部長の車だと解った。

 

タイムカードを押して急いで休憩室へ向かうY氏、この時間に休憩室がやたら静かな事に違和感を覚えつつ休憩室の扉を開いた。

 

To Be Continued>>>

 

ニューエスカルゴの略称でスロットメーカー川砂産業のヒット機種。ウインクしているエスカルゴがボーナス図柄になっている。

 

首都圏に遊技場10店舗と焼肉屋数店舗を経営する(株)上野興業。親族経営で役員は上野一族。

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